2025/8/26

今回は野球肘についてお話ししていきます!
子どもの野球肘とは?
野球肘は、成長期の子どもに多くみられる代表的なスポーツ障害の1つです。
「野球肘」は野球少年のなかでも、ピッチャーに多い症状です。その理由は、野球肘になるきっかけが投球動作にあるからです。
投球動作の繰り返しによって肘関節に過度なストレスがかかり、靭帯・腱・骨や軟骨に炎症や損傷を起こす状態を指します。
特に小・中学生の時期は骨端線(成長軟骨)がまだ柔らかいため、大人に比べて損傷が起こりやすいのが特徴です。
●発症の要因
- 投球数の多さ:1日の投球数が多い、連日の登板など
- 投球フォームの問題:体幹を使わず腕だけで投げる動作
- 体のアンバランス:柔軟性不足や筋力の偏り
- 成長期特有の脆弱性:骨端核や軟骨がダメージを受けやすい
⚾ボールを投げる時、ひじの内側は自分の体重以上の力で引っ張られて緊張し、ひじの外側は体重の3分の2以上もの大きなストレスがかかるのです。
そもそもひじは体重を支えるような強い関節ではないので丈夫ではありません…
●主な症状
- 投球時、特に肘の内側の痛み
- 腫れや可動域制限(肘を伸ばしきれない/曲げにくい)
- 違和感やだるさが続く
- 重症化すると骨片がはがれる「離断性骨軟骨炎」に進行することも
野球肘には「内側」「外側」「後方」と3つの種類がある
※投げる動作によりひじの内側と外側に加わる力が異なるため、痛みが出ている場所によって状態やその後の経過、治療方法も変わってきます。
●内側の野球肘の場合
「なんだかひじが変」といった程度の違和感から始まります。
練習後、しばらくすると違和感が消えることが多く放置しがちですが、そのまま投球を続けると徐々に痛みが出現します。これは肘の内側の靭帯により、骨端が繰り返し強く引っ張られることが原因で、骨端軟骨の傷が深くなってきています。この時点で一時的に投球を休むことで肘の痛みは消失し、またボールを投げることができるようになります。
しかし、ひじに負担が大きな投げ方をしている場合は痛みが再度出始め、これを繰り返すことになります…
なので、小さいうちからひじに負担が少ない投げ方を身につけることが重要です💡
●外側の野球肘の場合
外側の野球肘のほとんどは、小学生の頃に発生します。
成長途中のひじで投球を何度も繰り返すと、ひじの外側にある上腕骨と橈骨の軟骨同士がぶつかり圧迫されます。それを繰り返すことで、ひじの外側に痛みが出ます。
この場合、関節の軟骨と骨に障害が出る「離断性骨軟骨炎」になっていることがあります。初期は軽い痛みや違和感のみで、そのまま野球を続ける人がほとんどです。
しかし進行すると…
骨と軟骨がはがれるようになって症状が強く出てきて、そこで初めて「病院に行こう!」となります。症状の進行具合によっては手術が必要となり、野球ができなくなったり、肘の動きに制限が残ってしまうこともあります。
●予防と対処
- 日本臨床スポーツ医学会などが推奨する投球数制限を守る
- 投球フォームを改善し、全身を使った動作を習得する
- 練習後のアイシングやストレッチで疲労を軽減
- 痛みがあるときは練習を中止し、病院・接骨院での診察や治療を受ける
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「野球が大好き」という気持ちは子どもも大人もみんな一緒ですよね。
練習を休みたくない・休ませたくない、試合に出たい・出させたいと、そんな気持ちが生まれます。
しかし、「多少の違和感や痛みなら大丈夫!」という気持ちが野球肘の発見を遅らせ、重症化に繋がる要因となります。
保護者の方やの方指導者は、定期的に子どもたちのひじをチェックしてあげる機会を作ってあげて欲しいです!
そこで痛みや問題に気づいたら、すぐに病院や接骨院を受診しましょう。
当院にはスポーツの障害や外傷のプロ・現役スポーツトレーナーも在籍していますので、細かい相談もお任せください♪
野球を楽しく続けるために、早期発見・早期治療に努めましょう✨